東京喫茶店巡り (その五)

 

 大学時代の同窓会が今年も東京で行われた。例年宿泊ホテルは品川か、新宿に決めているのだが昨年あたりから何処も空きが少なくて、金額も大幅に上がっている。外国の旅行者が多くなったので直に満室になるらしい。今年は神田のビジネスホテルを予約した。3泊朝食サービスで19,800円とリスナーブルの上に、駅に近く交通も便利で部屋は狭いが、まずまずといったところか。初日は13時過ぎに羽田に着いたがあいにくの小雨でぶらり気ままな散歩を諦め、ホテルに向かったがチェックインには早すぎたので荷物をフロントへ預けて付近を散歩することに。小川町のジャズ喫茶オリンパスへ行くとランチタイムを過ぎていたので大音量でジャズがかかっていた。マスターがメニューと撮影禁止のステッカをテーブルに置いて行く。コーヒーを頼んで店内を見回すと常連客と思しき男性が2人リズムを取っていた。演奏者は不明だが豪快にテナーサックスの音が店内に充満していた。

1時間半ほどいたがその間客の出入りは無く、今日はテナーサックス特集なのか流れるジャズはテナーが主体であった。マスターと話をしたかったが2年前に訪れたのをマスターが覚えている訳が無く又、話せるような雰囲気でもなかったので、オリンパスを後にする。音に関して言えばやはりこだわりのJBLオリンパスの音は素晴らしかった。来年もまた来ようと思った。

オリンパスを出て近くに気になっているジャズ喫茶ビックボーイに向かう。ここは三省堂本店の直傍で簡単に見つかった。中に入ると店は満員で後ろの窓際1席のみ空いていた。ラッキーとその席を確保しコーヒー(680円)を頼んで辺りを見回すと出口のドアノブに撮影禁止の看板がぶら下がっていた。外の入口のドアノブに掛けないと駄目じゃないのと思ったが、東京のジャズ喫茶店は何処も彼処も撮影禁止らしい。このお店のスピーカーはJBL4343で正面の棚に納まっていた。

お店をオープンするときにスピーカーに合わせて棚を作ったと思われる。そう言えば四谷のイーグルはJBL4344を壁に埋め込んでいたのを思い出す。スピーカーを変えたらどうするんだろうと余計な心配をしながら聴いていたが、マスターが私の席まで来て「どこから来たの」と聞くので、札幌と答えると「私も白石に住んでいたんだよ」と懐かしそうに話をしてくれた。ちょくちょく合間を見ては私の席に来て、「ここは行った事あるかい」と京都や横浜の喫茶店の名刺を持ってきてくれた。もちろん「ないよ」と答えると「仲間がやっているので宜しくね、札幌のジャマイカはどうしてる」、「オーナーが無くなってから行ってないよ」、「いつ札幌に戻るの」、「月曜日だよ」、「ここは日曜日が休みだから明日又おいでよ」、「明日は夕方に同窓会があるので時間が取れるかな」。

初対面なのにこんな会話を交わす。その間何人かの客がのぞいて満席なので諦めて帰っていった。オリンパスとの違いは、店は1/3ぐらいしか無く小さいがマスターの気さくな性格が人を惹きつけるのか。

ジャズ喫茶のオーナーは気難しく無愛想が当たり前と思っていたら、ビックボーイみたいなマスターもいるのだ。それでカウンター席が満員なのだ。皆マスターと会話を楽しんでいるのだ。常連はカウンター席にすわるのが通例らしい。ここでは私語禁止ではないらしい。

そんなわけで次の日も時間をとってビックボーイに顔を出した。

札幌でも2日続けて同じ喫茶店に行った事が無いのに、東京で行きたいところが沢山あるのに同じ店に続けて行くなんて。今日も満席で一つだけ昨日と同じ席が私のために空いていた。この店はよほど私と相性が合うのだと思った。

帰り際にカウンターの中をのぞくとパワーアンプはパス,プリアンプはマークレビンソン、アナログプレーヤーはトーレンスだった。

来年の再会を誓って同窓会の会場に向かった。今回は予定が色々あってジャズ喫茶店探求は終わりとし、次回は横浜、千葉周辺を探索したいと思います。     人生黄昏

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ビックボーイ
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オリンパス

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