はらわたが煮えくり返る

2~3日前にNHKのニュースで英語民間試験の延期が放送されていた。
突然の延期の発表にこれまでの対応に追われていた高校からの戸惑いや、怒りの声が取り上げられていた。
その中でさいたま市のある高校の校長先生がインタビュに応えて「はらわたが煮えくり返るほど悲しいです」と言っていた。
“はらわたが煮えくり返る”とは最大限の怒りを表す形容で、悲しいとは結びつかないと思い広辞苑で調べると“怒りに堪えられないさまの形容”と出てくる。
“はらわたがちぎれる”なら、悲しみなどにたえられない状態となっていて、煮えくり返ると、ちぎれるを間違ったのかと思ったのだがNHKの全国ニュースで2回も放送され、しかも校長先生の話となると、こんな使い方もあるのかなと、自信が無くなる。
後でNHK NEWS WEBを見るとこのニュースを取り上げていて
さいたま市の田中淳子校長の話として「はらわたが煮えくり返る思いです」と悲しいですが、思いですに変えられていた。
校長先生でも使い方を間違うこともあるのだ、日本語は難しいと思いました。
                     人生黄昏

オーディオの楽しみ その3

我が書斎兼オーディオルーム(妻は物置部屋Bと呼んでいるが)に新しい仲間が加わった。

新しいと言っても一階の居間にあったステラ・メロデーという小さなスピーカー(1998年発売スイスのアクースティック・ラボ社製品)を二階に移動しただけなのだが。

このスピーカーは15年くらい前に中古品を半額くらいで手に入れたものである。当時ペアで定価61万円だった。

早速サブシステムに繋いで音だししてみるが思うように鳴ってくれない。発売当時はオーディオ雑誌で何百万円もする大型スピーカーに混じってグランプリを取っており、ピアノやバイオリンなどクラッシック系に合うスピーカーとの評価だった。

色々設定を変えてみたが満足のいく音になってくれない。

色々悩んだ末にこれはもうアンプを変えるしかないと結論した。

現在のサブシステムのアンプはラックスのL-35で2014年頃新品で手に入れたもので定価30万円だった。

とてもコンパクトなアンプで、温かみのある音色が気に入っていたのだが、今回のスピーカーとは相性が合わなかったようだ。

早速候補のアンプを選ぶことにして、カタログ集めを始めた。

候補に上がったアンプはラックスの真空管プリアンプCL-38uC,パワアンプMQ-88uC(合計75万円)、同じラックスのAB級プリメインアンプの最上級、L-509X(78万)、アキュフェーズの純A級プリメインアンプE-650(73万),同じくE-480(55万),マランツのプリメインPM-10(60万)、マッキントッシュのプリメインMA8900(98万)、MA7200(70万)など、かなりの数のアンプが候補に上がった。

この先オーディオにまとまって投資するのはこれが最後と思うと慎重になる。

しかしながらカタログを集めて性能を比較したり、オーディオショップに通ってお目当ての

アンプの音を聞かせてもらったり、あーだ、こーだと色々迷っている時間が一番楽しい。

最終的に上記の中からから候補を2~3に絞り込んでいく。

マッキントッシュはメインの装置に使っているので候補から除外。ラックスの真空管アンプはプリ、メインが分かれていて場所をとるので除外。マランツはCDプレーヤが同じくマランツなので一番相性がよさそうなのだが、デザインが好みで無いので除外。最後に残ったのがアキュフェーズE-650とラックスL-509X。このどちらかに決めようと思いオーディオショップの馴染の店員に相談するとアキュフェーズは定価販売が基本で、若干しか安くならない、ラックスなら2割引きは可能とのこと。E-650はアナログプレーヤーを繋ぐためにはさらに10万近くのオプションボードを付けなければならないので予算の都合で泣く泣く断念。

アキュフェーズは日本で一番信頼のおけるメーカで保障期間も5年と長く、メインの装置に使っているCDプレーヤーP-700は今まで一回もトラブルが無いなど一番信頼のおけるメーカーだと思う。

後日L-509Xの値段交渉しようとショップへ行くと、そこに候補に無かったエソテリックのF-03A(98万)がかなりの値引きで売られていた。エソテリックは高級CDプレーヤでは世界的なメーカーですが、近年高級アンプにも力を入れてきた。F-03Aは同社では安い方のアンプになるがそれでも100万近くするので候補には入れていなかったが、なかなか評判の良いアンプだ。

今回展示品なのと1ヶ所目立たないが傷があるので処分価格にしたとのこと。

F-03Aがこんなに安く手に入るならそれも有りかなと、早速カタログをもらって検討に入る。

このアンプは2016年4月発売のエソテリックブランド誕生30周年記念の製品で

パワーは純A級なので30w(8Ω)と小さいが我が家のサブスピーカーには十分。

PHONO入力はMMとMCの両方あり、またスピーカー出力端子も2系統あり不満無し。

消費電力は250Wと多めだが純A級なのでやむを得ないか。

ショップ店員のこれ1台きりだからに他に売れたらもう無いよの言葉に焦らされて発注した。

しかしながら今まで検討に費やした数ヶ月の時間はなんだったのか。

検討に検討を重ねて絞り込んだのを価格だけでひっくり返すのは、我ながらどうかと思うが

金の無い貧乏人の人生はこんなものか。

ただ決まるまでの迷った時間は至福のひと時だった。趣味で悩むのは健康に良いのではないか。

後日我が部屋に運びこまれたF-03Aは32Kgと重く一度置き場所を決めたらもう1人では動かせない。

早速音だしをしてみる。低音が豊になり中高音も申し分ない。流石にエソテリック30周年記念モデルの価値はあるなとご満悦。

今はスピーカーの位置を調整しながら、もっと良い音が出るよう奮闘中の毎日です。最近はメインの装置よりサブで聴くほうが圧倒的に多くなりました。評判どおりピアノやバイオリンが美しく鳴ってくれます。好きな音楽を聴くと1日の悩みや疲れが飛んで無くなります。

改めて音楽は人生を豊にしてくれると思いました。   人生黄昏

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F-03A 下はマッキントッシュC-42
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右がステラ・メリデー 左がKEFのLS50

 

東京喫茶店巡り (その七 )

今年も同窓会を東京で行ったがそれに合わせて毎年気ままなジャズ喫茶巡りをおこなっている。

純粋なジャズ喫茶店は年々少なくなって、夕方からオープンするジャズバーがかろうじて残っているくらいである。そう言えば開店47年を迎えた吉祥寺のジャズ喫茶“メグ”が昨年2月に閉店したと雑誌に載っていた。オーナーの寺島靖国さんは、知る人ぞ知るオーデオケーブルマニアで、東京へ行くたびに通ったが、まともに開いていたのは2度くらいで、もう真っ赤なスピーカー、アバンギャルドを聞けなくなったのは残念です。

今回のジャズ喫茶巡りは最初に羽田から横浜に直行して昨年好印象だった”トミーズ・バイ・ザ・パーク”ヘ向かった。

この喫茶店は比較的新しいお店で気さくなマスターとお話できる居心地の良いお店です。

着いたのが遅くお店は18時が閉店なので早めに切り上げ1日目が終わった。

2日目は最初に神田の”ビックボーイ”にいくことにした。

開店時間が13時なので神田の古本屋や三省堂の本社でウインドショッピングを楽しんでいるうちに14時を過ぎてしまい、計画変更し一旦ホテルに戻って近くのとんかつ屋で遅い昼食を取って最初にお茶の水の”オリンパス”へ寄った。

この店もお馴染みのお店で入ると常連客が6~7人音楽に酔いしれていた。

JBLオリンパスからあふれ出るジャズは誠に心地よい。長居をしたかったが早めに切り上げ、本日メインの目的喫茶店”ビックボーイ”へ向かう。着いたのは16時半頃だった。

ドアを開けると店主がすまなさそうに、「今日は17時で終わりだけれどいい?」と言われる。来てしまったのだから30分でもいいやとコーヒーを頼んで席に座る。あっという間に30分が過ぎて誰もいなくなった。

店主がやって来て「ごめんね。明日から1週間札幌の実家へ帰るんだよ」「確か白石だよね」「よく知ってるね。札幌へ行ったらジャマイカに行くのが楽しみなんだ。最近行った?」「オーナーが亡くなってから行ってないなー」「今は、奥さんと娘さんとで頑張っているみたいだよ」「近々行ってみるよ」こんな会話をして分かれた。

夕食にはまだ早いし新しいお店を探すことにして新宿か池袋に行こうと地下鉄淡路駅にもぐると丸ノ内線で池袋に向かう線があった。

とりあえず池袋駅から歩いて10分くらいのジャズバー、”モンゴメリーランド”へ向かう。ネットで調べたら18時半開店とあったので池袋で時間を過ごして18時半きっかりに目的地に着いた。が周辺をいくら探しても見つからない。

諦めて高田馬場か新宿へ戻ろうと思ったがここまで来たのだから思い切って電話をかけてみた。

そうすると店主がすぐに迎えに来てくれた。迎えに来てくれるなんて優しいオーナーだな、印象度アップ。お店はさっき通ったビルの地下にあった。

ビルの名前を探すのに上を見て歩いていたので気がつかなかった。

お店に入ると奥にJBL4344MKⅡが鎮座しておりプリアンプがマッキンのC42、パワーアンプが同じくMC402と我が家の装置とほぼ同じ。(パワーアンプは我が家はMC500)

「何かかける。好きなプレイヤーはだれ?」「シェリーマン」「ずいぶん渋いね、シェリーマンのリーダーアルバムは無いな」「誰でもいいよ。ビル・エヴァンスでも」

LPかCDを掛けるかと思ったらiPodを取り出し選曲してワデアのDACに差し込んだ。私の顔を見て笑って、「大丈夫だよ、圧縮しないで録音しているので音は良いんだ」

やおらボリュームを83まで上げる。拙宅では65以上あげたことが無いので「いつもこんなに上げるの」と聞いたら「JBLはボリュームを上げないと性能を発揮しないよ」

なるほど自宅のスピーカーは音がこもって、こんな低音が出ないな。床を這って低音が机を振動する。心地よい音のシャワーが全身に降り注ぐ。

壁にはジャズギタリストのウエス・モンゴメリーのLPジャケットが何枚も飾ってあった。この店の名はそのモンゴメリーを拝借したとの事。

しばらくして店主がギターを取り出しウエス・モンゴメリーが編み出したオクターブ奏法を実際に弾いて解説してくれた。店主は本当にウエスが好きなんだ、ウエスに傾倒しているのがよく分かった。

その辺のところは先月発売の雑誌“ジャズと、喫茶店と、オーデオと”に詳しく紹介されてました。

店主のオーデオの生い立ち、ウエス・モンゴメリーとの出会い、喫茶店を開くまでの苦労話、他ジャズ喫茶店の話などで盛り上がり、気がついたら22時半を回っていた。その間、他に客は無し。場所が繁華街から離れているのでと言ってましたが、こんな素敵なお店、店主が素晴らしいジャズ喫茶店は全国にそんなに無いよ、末長く続いて欲しいと思いながら、来年も絶対来るよと約束してお店を後にしました。

今日は最後に素晴らしい体験をすることができ大満足な1日でした。

                                                                                                                     人生黄昏

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オーデオ装置1式
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ワデワのDAC
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JBLスーパーツイーターこれを付けたら低音が締まったとの事
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店主お奨めのCDキースジャレットのソロピアノ
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見つけれなかったお店の入口

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札響定期演奏会

先日娘が札響の第610回定期演奏会のチケットをプレゼントしてくれた。

あいにくその日は出番だったがK係長が快く次の週と変わってくれたのでKitaraに妻と出かけた。(K係長、ありがとう)。クラシックコンサートは何年ぶりだろう。席は1階の4列の右端でこんな前で聴くのは初めてなのでいやが上にも期待が高まる。13:20開場、14:00開演で曲目はドヴォルジャークのチェロ協奏曲と、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」である。指揮者は飯守 泰次郎さん、チェロ独奏者は石坂 団十郎さんで、石坂さんは1979年日本人とドイツ人の両親のもとドイツに生まれ39歳の若手でヨーロッパを拠点に世界各国で活躍しているとの事。照明が暗くなり楽団員が着席してオーボエによる音あわせが始まる。会場が色々な楽器の“ラ”の音に包まれる。この一瞬がCDでは味わえない至福のひと時です。やがて始まる演奏に期待が膨らみ気分が高揚する。チェリストの石坂さんが登場、背が高くかなりハンサム。拍手とともに指揮者も登場、一瞬の静寂後、指揮棒を振り下ろすとおなじみのチェロ協奏曲が始まった。ああ生はいいな。全ての音が柔らかく身体を包み込んでくれる。フォルテシモでも全然うるさく感じない。自宅のスピーカーだとこうはならない。やっぱり生は最高です。

第一楽章が終わったら後ろの団体さんが拍手。ご愛嬌か。チェロ協奏曲が終わって鳴り止まぬ万雷の拍手に応えてバッハの無伴奏チェロソナタをアンコール演奏して第1部が終わりました。

第2部はチャイコフスキーの「悲愴」です。チャイコフスキーはこの「悲愴」を初演の指揮をして6日後に(9日後との説もあり)コレラで亡くなったそうです。「悲愴」はチャイコフスキーの白鳥の歌となりました。第一楽章の冒頭、コントラバスの弱音に小さくうめくようなファゴットの出だしで始まりましたが、かすかな音もはっきり聞え、さすがKitara。第二主題の美しいメロデー後の大音量のジャン・ジャジャジャーンも指揮者の指揮棒を見ているといつ鳴るか分かるので驚かない。曲が進んで第3楽章が終わると、又後ろの団体さんが拍手。初めてのコンサートなのかな。交響曲は、ほとんどが第4楽章まであるんだよ。拍手したうちの1人が「又間違っちゃった」とコメント。ご愛嬌、ご愛嬌。

指揮者の飯守さんは2曲とも暗譜で指揮をしていました。2曲とも得意なレパートリーとお見受けしました。曲が終わり途切れることが無い拍手に応えて何回かステージに戻ってきたがアンコールは無かった。幸せ気分にどっぷりと浸り余韻を楽しんでいたら周りは既に皆退場。慌てて席を立つ。しかし生は良いな。本当に良いなあー。当分は家では音楽を聴く気になれないよ。娘とK係長ありがとう。コンサートから帰って後2~3日は「悲愴」の第一楽章のメロデーが頭の中で鳴っていました。

クルレンツィスのCDから始まって今年の6月は「悲愴」に縁のある月でした。

又機会があったらコンサートに行きたいと思っています。 人生黄昏

悲愴

先日行きつけのレコードショップでジャズの再販CDを物色していたら、クラッシックコーナーにあったチャイコフスキーの「悲愴」が目に入った。指揮者は今話題のギリシャ生れのテオドール・クルレンツィスで、少し前のオーディオ雑誌に取り上げられていたのを思い出した。CDに2017年のレコードアカデミー賞大賞受賞のステッカーが張ってあつた。迷わず購入し家に帰って早速聞いてみた。

冒頭のファゴットが消え入るようにかすかに聞える。極端なピアニシモの演奏で思わずボリュームを上げたくなる。しかしこの曲は美しい第二主題の後に突然ドカンと来るので、うっかりボリュームをあげられない。天国的な美しいメロデーに酔いしれていると突然ドカン来て飛び上がることになる。その個所を過ぎるまでなんとなく落ち着かない。クルレンツィスの「悲愴」は特に強弱が激しいので要注意である。しかしながらこのCDの第一楽章は非常に美しく私の持っている「悲愴」の中ではとても満足のいくものであった。

私が所有している「悲愴」の数は調べてみると意外と少なくCD6枚、LP4枚の計10枚しかなかった。演奏時間を調べてみると、どれも43分~48分でクルレンツイスは46分31秒と平均的だった。チェリビダッケは57分39秒と長くこの指揮者の面目躍如といったところか。

クルレンツイスの「悲愴」の紹介記事に、“この指揮者は天才か、悪魔か、ギリシャの鬼才が放つロマン派の交響曲”と載っていた。

これからベートーヴェン、マーラーの交響曲チクルスにも取り組むとのことで、今年の日本クラッシック界の話題をさらうことだろう。   人生黄昏

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テオドール・クルレンツイスのCD
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サー・ゲオルク・ショルテイのLP
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カラヤンのLP
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ムラヴィンスキーのLP
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チェリビダッケ、ゲルギエフ、ジュリーニ他のCD

東京喫茶店巡り (その六)

今年も大学時代の同窓会が東京で開かれた。いつも同窓会の前後に休みを貰って東京気ままなジャズ喫茶巡りをおこなっているのだが、今年は東京に住んでいる友人二人がそれぞれ旧交を温めようと誘ってくれたので、フリーな日が1日しかなくなった。

そんなわけで貴重な一日を有意義に過ごしたく最初に神田神保町の「ビックボーイ」に向かう。ここは昨年2日続けて行った所で、気さくな店主との再会が楽しみでも有る。13時のオープンにあわせて行くと既に先客がいた。カウンターに座りたかったが、常連席に座るのはまだ早いと遠慮して後ろの席に陣取る。コーヒーを注文しJBL4343からほとばしり出る音楽にあわせ心地よくリズムをとっていると、次から次と常連客がカウンターに座ってすぐに満席となった。マスターと話がしたかったが客の対応に追われていてそんな暇がなさそうなので諦め、早々に退散して次に気になっている近くのジャズ喫茶へ向かうことにした。

神田は結構ジャズ喫茶店が多く今回は「きっさこ」と言うジャズ喫茶へ向かった。5分ぐらい歩いて探すと仲通に面してすぐに見つかった。中に入ると意外と広く壁にLPとCDがぎっしり並べてあり期待が高まる。大きなスピーカーの前の席に座ってコーヒーを頼んで辺りを見回すと、二組の夫婦らしきカップルとサラリーマンらしき男性2人が雑談していた。目の前のスピーカーからかすかに音楽が流れているがジャズ喫茶らしくない。スピーカーの上には“年代物のスピーカーなので触らないでください”と注意書きがあり、1960年代のアルテックと分かった。LPプレーヤーはテクニックスが近くに置いてあったが配線していなく使われてないようだ。いつまで経ってもジャズが鳴らず、こんな所に長居をしてもしょうがないので早々に立ち去ることにして、帰り際にここはジャズをがんがん鳴らさないのと聞いたら、打合せの客が多いので音楽は小さく絞っているとの事。四方の壁のLP、CDは何なんなんだろう、きっとオーナーが変わってジャズ喫茶を辞めたのかな。

気を取り直してかねてから気になっていた横浜の「トミーズ・バイ・ザ・パーク」へ向かう。地下鉄横浜駅から8駅目の仲町台駅すぐそばで簡単に見つかった。中に入ると縦長のお店で入口付近に中年のおばさん4人が雑談していた。奥にJBLのスピーカーがあり、ジャズを奏でていた。おばさんの近くはいやだなーと思いながら周りをきょろきょろしていると、マスターが奥に有るカウンター席に座るよう勧めてくれた。しばらくしておばさんたちとカウンターに座っていた常連客が帰ったので、マスターにじっくり話を聞くことができた。音響装置はJBL4365にマッキントッシュのMA6900、CDプレーヤーはデノンのDCD-SX1との事。お店を1人で切り盛りしているのでLPは全部処分してCDに変えたとの事。その数約4,000枚。本当は会話禁止の店にしたかったのだけれど、近くの公園の帰りに寄ってくれる親子連れが多いので会話はOKにしているとの事。ジャズフアンも多いので有る程度の音量で鳴らしているのだけれど、会話禁止の東京のジャズ喫茶店が羨ましいとの事。ジャンルはモダンからフィージョンまで幅広く鳴らすように心がけているとの事。しばらく話をしていると、先日ニューヨークへ買い出しに行って見つけた女性サックス奏者MELISSA ALDANAのCDを掛けてくれた。男性顔負けの豪快な演奏で今年の注目株だそうです。まだ日本では発売されていないとの事でした。長居をしたかったのですが18時閉店との事でお洒落な居心地の良いお店を後にしました。東京のハードなジャズ喫茶も良いがこんな素敵なジャズ喫茶も良いなーと思う満足な1日でした。                人生黄昏

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きっさこ
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トミーズバイザパーク
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JBL4365
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マッキンのアンプとデノンのPL
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CDの一部
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MELISSA ALDANAのCD

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皆既月食

皆既月食

大変遅くなりましたが明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

昨夜は皆既月食だったので夜空を見上げた方も多かったと思いますが、御多分にもれず私も寒い中を観測しました。今回の皆既月食は「スーパー・ブルー・ブラットムーン」と言われ非常に珍しい現象との事。一説によると265年に1度とか。

天候が心配されたが月食が始まる頃には、晴れて絶好の観測日和となりました。皆既月食が始まってから急に写真を撮りたくなって、愛用の一眼レフと何年も使っていなかったサンニッパ(300m/mF2.8)のレンズと2倍のテレコンを引っ張り出し、2階のベランダで撮影をしました。

ベランダは狭く三脚を立てるスペースが無いので、手持ち撮影をするが600m/mを手持ちは流石に無理で写真はブレまくりのオンパレード。ISOの感度を最高まで上げようやく撮れたのが添付の写真です。

やはり事前に準備をして郊外の高台で三脚を立てて、ピントをしっかり合わせて撮らなければ良い写真が撮れないと反省しております。寒さを我慢して夜空を見上げていましたら、久しぶりにオリオン座が見えて中央に並んでいる3つの星が肉眼ではっきり見えました。最近めっきり目が悪くなったと思っていましたが、はっきり見えたのでまだまだ大丈夫かなと思いましたが、乱視なので星はダブってみえました。左上のペテルギウスもあんなに赤かったかしら。3つの星の下にぼんやりと立てに並んだ3つ星の中にオリオン大星雲もかすかに見えました(見えた気がしたのかも)。

大変寒かったけれど冬の星座の観測は、童心に返っていいものだと思いました。

                                人生黄昏

注1:スーパームーン 通常の満月より14%ぐらい大きい

注2:ブルームーン  1ヵ月に2度目の満月

注3:ブラッドムーン 皆既月食により月が赤っぽく見える

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300m/mプラステレコン
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300m/mテレコン無し
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そろそろ終り
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70ー200m/mF2.8のレンズ

ジャケ買い

写真クラブの例会が早く終わったので帰りに狸小路側のタワーレコードに寄ってみた。クラッシックのコーナーを掘り出し物が無いかと探していたら、ちょっと派手なアートなジャケットが目に留まった。クラッシックのジャケットは通常、指揮者か演奏者の顔が乗っているのが多く一目で内容が判る物が多いのだが、こんな素敵なジャケットはなかなかお目にかかれない。思わず手にとって見るとそれはモーツアルトのピアノソナタで演奏者はアルド・チッコリーニだった。チッコリーニの名前は知っていたが自宅にはLP、CDとも1枚も無かったと思って値段を見ると1,728円とリスナーブルで、これはもう買うしかない。

早速家に帰って聴いてみる。録音されている曲目は第11番(トルコ行進曲付き)、第2番、第13番でチッコリーニ85歳のときの録音(2011年5月)となっていた。

年齢を感じさせない若々しい演奏で何よりピアノの響きが素晴らしい。透明度が高く音の立ち上がりの早いのが素人目にも分かる。ライナーノーツによると使用しているピアノはベヒシュタイン製との事。知識が無かったのでネットで調べると、スタインウェイ、ベーゼンドルファーと並んで世界3大ピアノメーカーで一台一台が手作りとの事。ピアノのストラディバリウスと呼ばれるほどの名器で、多くのピアニストに愛されているそうです。モーツアルトのピアノソナタ第11番(トルコ行進曲付き)はCDで5~6枚あるがこのチッコリーニ盤が一変に好きになった。最近聴くことの多かったグールドの11番とは比べ物にならないほど美しい音色です。グールドの11番はテンポが極端に遅く特に第3楽章のトルコ行進曲はトルコの軍隊はそんな華麗に行進しませんよと言いたげに極端にテンポを落としている。私はグールドが大好きなのでこの解釈も有りだなと思うのだが、モーツアルト好きに言わすとこんな演奏はモーツアルトでない。非常に雑な演奏だと発売当時非難が集中したそうです。最もグールドはモーツアルトのピアノソナタはいずれもたいした作品が無いとインタビュで語っているが、その言動もモーツアルトフアンの神経を逆なでしている。

グレン・グールドの話は又の機会に譲って今回のジャケ買いに戻すと、ジャケ買いは度々するのだが、大方はジャズボーカルでそれも美人の歌手のものに限られているが、今回のアートのジャケット買いは満足のいくものだった。

今後はクラッシックコーナーにも注目していきたいと思います。                         人生黄昏

 

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先見の明 Ⅱ

今年のノーベル文学賞は、カズオ・イシグロに決まった。

3年ぐらい前に妻と一緒に本屋でミステリー本を物色していたら、めったに本を買わない妻にミステリー以外で何かお勧め本を教えてと言われ、カズオ・イシグロの“私を離さないで“を勧めた。私はカズオ・イシグロの本はいまだに1冊も読んだことが無く、しかも名前から推してアメリカに住む日系二世だとばかり思っていた。今回の受賞で彼が長崎生まれで5歳の時イギリスへ渡ってイギリス国籍を取得した作家と知った。受賞のニュースを見ていた妻が「この作家の名前どこかで聞いたことがあるよ」と言い出したので、「3年ぐらい前に”私を離さないで“を文庫本で買ったしょ」といったら思い出したらしく「読んだあと、後味が悪かった本だね。私はやっぱりハッピーエンドで終るほうがいいな」と言って、続けて「この本どこにあるかな」と言うので「もう一度読み直すの」と聞いたら「今すぐブック・オフに持っていったら高く売れるよ」。    何だそっちかよー。

ともかく私のおかげでノーベル賞受賞作家の本を3年も前に先読みできたのだから、私の先見の明に感謝したらと思うのだが。

今年も村上春樹が取れなかったけれど来年以降に期待しよう。

                     人生黄昏

横浜のジャズ喫茶店

昨年の話になるが横浜駅の近くのジャズ喫茶店を探したことがある。その一つがちぐさと言う、かなり古くから横浜にある喫茶店だった。(後に調べて判ったことだが、昭和8年の創業で昭和20年の横浜大空襲で店舗及び6000枚以上のレコードを消失。昭和23年に店の常連やジャズメンより千数百枚のレコードを手に入れ再開する。平成6年に前オーナーが亡くなりその後オーナの妹により営業が引き継がれたが平成19年に惜しまれつつ長い歴史の幕を閉じる。平成24年3月に有志により保管してあったオーディオ器材やレコードを持ち寄り、営業再開し現在に至っている。創業84年、現存する日本最古のジャズ喫茶店)。 お店は横浜の野毛地区にあり直に見つかった。店に入ると正面に大きなスピーカーが備えられており明らかにオリジナル品と分かる。プリアンプもパワーアンプもビクター社のエンジニアリングの高橋さんの製作による特注品との事。パネルにちぐさの名が刻んであった。プレーヤーはテクニクスのSP25他。

椅子はスピーカーに対面して座るように配列しており純粋にジャズを楽しむように配慮されていた。昼下がりの時間帯で常連客らしき人が3人いてコーヒーを注文すると500円と安め。

鳴っている音は音量控えめで非常に優しく刺激的な音は一切聞えてこない。これならクラッシク曲も鳴らせそう。しばらく音楽に酔いしれているとマスターらしき人が分厚いメニューを重そうに持って私のテーブルに来た。ワインか何かののメニュー表かなと思って開いてみると英語でレコードの名前がびっしり並んでいる。何かなと思って聞くとリクエストブックだと言う。この中から片面だけをリクエストして良いとの事。常連客のいる中で一見さんの私を選ぶなんて、流石にお目が高いと感激し、ぱらぱらとめくったが面倒くさくなったのでシェリーマンの2.3.4のA面を頼む。この曲は自宅で何回も聴いているのでこの特注の装置でどんな音が出てくるのかなと期待する。やがて出てきた音は上品で柔らかくシェリーマンのドラムはしっとりとしていて普段家で聴いている乾いた音とは違う。エデーコスターのバイブはこんな柔らかな優しい音だったかなー。ちょっと物足りない音のような気がしたが、これなら何時間聴いても疲れないと思った。

お客は誰も席を立とうともせず、静かに聴いている。やがて1人が帰った後に入れ替わり次の客が座った。先ほどのマスターらしき人が注文と同時にリクエストブックを見せているではないか。私だけでなく全員にリクエストを聞いていると判った。私だけ特別扱いする訳が無いよね。

しばらく粘っていたが夕方になってきたのでこの近くにあるもう一軒の店、アドリブへ向かう。ここも直に見つかり雑然とした狭い階段を2階へ上がっていったがお店は閉まっていた。がっかりして階段を下りるとオーナーが無愛想に「何か用かい」と2階から声を掛けてきた。

「今日は休みなの」と聞くと「7時からだ」と返事。7時まで待てないので諦めて東京へ向かう。

大都会の横浜にはまだまだ沢山のジャズ喫茶店はあると思うが、今回現存する最古のジャズ喫茶店にめぐり合えたのは幸運だった。     人生黄昏

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ちょうどシェリーマンのLPが掛かっている時
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ちぐさの外観