今金のジャズ喫茶店

8月末に函館に妻と行くことになった。かねてから気になっていた今金のジャズ喫茶、どんぐりの木へ寄ってみたくて妻に話すと、いいよとの事。高速を国縫で降りて今金へ向かうと、美利河ダムを過ぎたあたりで左手の木にJAZZの看板がぶら下がっていた。注意して運転してないと見逃してしまうところだった。少し行って旧道に入り100mぐらい戻ると一軒家があった。他にそれらしき建物がないのでここだと思い玄関前に車を止めると、かすかに洩れてくるジャズの音楽。玄関を開けて中に入るとむっとくる熱気。うたたねしていたマスターが、気がつかなかったと言って笑顔で出迎えてくれた。それにしてもこの熱気はと、部屋を見渡すとなんと石油ストーブを焚いているではないか。驚いて「ええー、8月なのにもうストーブを焚いてるのと言うと「今朝は冷え込んだからね」と澄まし顔でマスター。もうお昼過ぎなのに消す様子もない。改めて部屋を見渡すと奥の正面にアルテックのA7のスピーカがどんと鎮座していた。何を隠そう、その昔私もA7を導入したくて検討を重ねたことがあった。当時、あまりの大きさに断念したが(本当は金額が高くて買えなかった)とても懐かしいスピーカだった。およそジャズ喫茶とは思えない大きな1枚板のテーブルとソファーが2つ有って、それに座ってブレンドコーヒーを注文する。マスターがプレーヤーを操作して奥に引っ込むと、ビル・エヴァンスのワルツ・フォー・デビィが流れてきた。おおー、マスターやるねー、私の好きなエヴァンスを一発目に掛けてくれるなんて。以心伝心ってやつかな。奥からコーヒー豆を挽く音が聞こえてきた。一流のジャズ喫茶店は音にこだわりコーヒーにこだわらなくちゃ。改めてオーデオ装置を見るとLPプレーヤーはマイクロのBL-91L、アームはオーデオクラフトのAC-4000MC、アンプは見たことがなかったので後で聞いたら、友人が作った真空管アンプとの事。CDプレーヤーはテアックか。テーブルに写真集が2冊置いてあってそれを見るとオーナーの鈴木隆夫(68歳)さんの自主出版の写真集で、オーナーはJRを退職し自分の写真のギャラリー館を開くために故郷へ戻ってきたが、友人の進めもあってギャラリー兼喫茶店を開いたとの事。いろいろお話を聞こうと思ったら地元の男性が来て、お祭りの準備の打ち合わせを始めた。音楽はソニー・ロリンズのサキソホン・コロッサに変わっていて、豪放なテナーサックスが流れていた。しばらく心地よくサックスに浸っていたら妻が目で合図するので仕方無く立ち上がって帰ろうとすると、マスターが「ええー、もう帰るのかい、ゆっくりしていけばいいしょ」と、初対面とは思えない暖かい言葉。コーヒー代1人前350円(安い)を払って外に出たが、改めて周りを見ると本当に山の中で、こんなところにくるお客さんは狐か狸以外に居るのかなと心配になる。最も土、日、祭日しかオープンしてないとの事で、完全に趣味でやっているのかな。後ろ髪を引かれる思いでどんぐりの木を後にする。次に来れるのはいつになるのか。いつまでも頑張ってやってて欲しいと願いつつ函館に向かう。             人生黄昏

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喫茶店どんぐりの木
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アルテックA7

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LPレコード盤がメニュー
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オーデオ装置
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自宅のワルツ・フォー・デビィ

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