急いだって

  最近、銭湯に行くことが多くなった。
 最初は、「銭湯かよ」という気持ちで億劫だったが、行き出すと
 それなりに癖になりそうだ。
 銭湯といっても、温泉でもあるらしいのと、広い空間がたまらま
 くいいし、のんびりとした気持ちにもさせられる。
 気をつけなければならないのは、風呂上がりの時間を家内と打
 ち合わせ実行させる事かな。
 私の場合は入浴してから、身支度して出るまで15分から30分
 の間で切り上げるようにしている。
 風呂から上がって汗がとどめもなく出るのが嫌だから、家内には
 その様な理由は通じない。
 そんなわけで、家内に時間合わせ譲歩して1時間としたけど。
 どう頑張っても45分くらい、待ち合わせ場所で待つことになっ
 ている。

 そんな状況でも、風呂上がりはサッパリした気持ちになって、家
 内の運転する車で家路にとなる。バス通りから、右折の車通りの
 少ない道路にハンドルを切って、しばらくすると後方からガタイ
の大きな車が追い越していった。
 追い越されてから500メートルくらい走ったかな、すぐの交差
点で、右折する対向車を通過させるべく待っている先程のガタイ
 の大きな車が、いるではないか。
 「なんで急いだのだろうか」「追い越しした車に、すぐ追いつか
 れるのに無理をして情けないヤツよ」と。
 そんな光景を見て、「私もかつては無駄と思える行動をした若
 いときもあったんだ」と、思わず口走った。
 「今も、変わらないよ」と、家内から、このタイミングでいわれ
てしまった。どこか、家内に根っこをおさえられているように感
じた。
 考えてみれば、大きな湯船に浸かって気持ちに余裕が出来たとい
うことで、由としようか。

                      春風するめ